So-net無料ブログ作成
検索選択

直木賞作家 渡辺淳一氏死去 [文学]

yjimage渡辺.jpg
「遠き落日」「失楽園」など医療から伝記・歴史・恋愛小説と
幅広い分野の作品で知られる直木賞作家 渡辺淳一氏
4月30日 午後11時42分 前立腺がんのため
東京都内の自宅でお亡くなりになりました。(享年80歳)

昭和8年 北海道生まれ 札幌医科大学を卒業後同大で講師を務めながら執筆し、昭和40年「死化粧」で新潮同人雑誌賞を受賞するも、
同大で行われた日本初の心臓移植を批判したことがきっかけで辞職

その後上京し、アルバイト医師としてメスを握りながら執筆を続け
手術を題材にした小説 「心臓移植」を発表し話題となりました。

執筆歴は半世紀。外科医の体験を投影した医療小説で出発し
男女の性愛に迫る濃密な恋愛小説は、その多くが映像化され人気を博しました。

医学者としての冷徹な目で分析しつつ、
論理では割り切ることのできない人間の欲望・感情の揺れを
緻密に、大胆に描き幅広く支持を集めた流行作家でした。


明治期を舞台にカルテの取り違えで人生を左右された男たちを描いた「光と影」で、
昭和45年に直木賞を受賞

閑職に追いやられた敏腕編集者と美しい人妻との不倫愛を描いた「失楽園」(平成9年)は、
1年で250万部超を発行し、映画・ドラマも大ヒット!
「失楽園」が流行語大賞になる程の社会現象を巻き起こしました。
その後発表された「愛の流刑地」(18年)「あじさい日記」(19年)などでも
異性を求める激しい愛欲とその裏返しの憎悪・嫉妬が赤裸々に綴られ常に注目を集めました。

渡辺氏の恋愛小説と言えば「濃密な官能シーン」の描写が論議の的になったりしますが
そこには医大時代の解剖学実習などで死を見つめ続けた体験があるそうです。

「人間の生命の根源はエロスであり欲望。
そこにいやらしさではなく、いとおしさを感じるんだ。」
との言葉を残されています。

上手く書けない時には、人体解剖図鑑を開いたそうで、

「みんな同じ血管や筋肉、神経が付いているでしょ。
なのに、頭の良し悪しや足の速さには大きな差が出る。
人間って不思議だなあと思って書き残したくなるんだ。」

論理を超えたものに惹かれる純真な心と、人間への深い愛情が感じられます。

インタビューされる映像を見るにつけ、とってもお洒落でダンディーな素敵な男性ですよね。
年齢を重ねてもなお「男性」と感じさせる辺り、洒脱に人生を楽しまれてらしたのだなあと思います。

時に率直な物言いで若い作家に「頭脳中心で作品にリアリティーがない」などと
苦言を呈する事もありました。

大胆な性描写で新聞連載中から話題を呼んだ長編
「愛ふたたび」出版されたのは80歳になる年。
70代で前立腺がんを患い、性的不能にも直面した自らの葛藤を注いだ物語で、
若手に向けた言葉を実践して見せるなど、最後まで創作意欲は衰えず
粋に「男」を貫かれた方だと思います。

お別れ会にはきっと多くの方が参列し、氏との思い出に浸り別れを惜しまれることでしょう。


記憶に残る「素敵な男性」渡辺淳一さん どうぞ安らかに・・・

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。